2011年5月17日火曜日

IFRS 13 ---IASB とFASBが 共通の公正価値測定と開示の要件を公表

2011/5/12 国際会計基準委員会と 財務会計基準委員会は公正価値測定と開示の新しいガイダンスを発行したのでメモ的に記載しておきます。

冒頭では、公正価値会計の適用範囲を広げるものではなく、他のIFRSやUS GAAPの基準との整合を図るものである。と言っています。

Feed backでは以下の点に回答している。(あとでチェック)

・公正価値は出口価格である。
・主要な(有利な)市場価格である。
・負債の公正価値測定
・ポートフォリオの金融資産の公正価値測定
・プレミアムとディスカウント
・市場が不活発になった時の公正価値測定
・公正価値測定の開示 

ED(エクスポージャードラフト)からの変更点で気になったところは、以下。公正価値の定義がすっきりしました。また、公正価値インプットのレベル3に対する要求もはっきりしました。


(ED)公正価値とは:最も 有利な(advantageous )マーケットで用いられる価格を持ってい測定される.(資産を売却するのに最高金額、負債を移転するのに最小額で売買できる市場)
⇒(今回の変更)公正価値とは主要な(principal)市場で用いられる価格をもって測定される。(資産や負債取引レベルや取引量がもっとも大きい市場)もしくはprincipal市場がない場合は、資産負債の最も有利な市場。


(ED)公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類される資産負債は 数値による感応度分析が要求される。
⇒(今回変更)レベル3に分類される重要な観測不能なインプットについて公正価値測定の感応度について文書による説明が要求される。さらに、量的感応度分析(数値開示)が要求される。


(ED)公正価値評価プロセスに関する追加情報についての要求はなかった。(公正価値評価プロセス・・・評価方針、公正価値評価方法の決定プロセス、分析プロセスなど)
⇒(今回変更)レベル3に分類されるものについては評価プロセスに関する情報が要求される。

公正価値ヒエラルキーって、なじみのない方のために、書きますと、もともと、US GAAP(FASB157)で規定されていた、公正価値算定に際して使用するインプットを階層化したものです。

Level 1 :個別の資産負債の活発なマーケットでクオートされたプライス。いかなる調整もされていないインプット。
Level2 : Level1に含まれないインプット。直接的、間接的に観察可能。
Level3 :観察不能なインプット。市場参加者の推定を反映する必要があれば会社独自で調整を加えているインプットを含む。

Level3の場合は、見積もり的な要素が増えるから、開示してね。ってことですね。。。実務的にはLevel3かLevel2になるかで、開示の手間が格段に違ってしまうため、微妙なものはできればLevel2にしたいというところでしょうか。